14/1の空紡糸を日本国内の旧式のシンカー式小寸(小幅とも)編み機にて
サイズ別に編立てています。
小寸編み機はサイズ専用機となり生産効率が悪いことを理由に
生産現場から姿を消しつつある旧式の機械です。
また脇に縫い合わせのない丸胴仕様(チューブラーとも)は
裁断・縫製面(セミフリーダムは特に)でも制約が多い仕様です。
裁断
通称<ザブトン>と呼ばれる蛇腹に折りたたまれた反物から
1着分の生地を切り出し、チューブ状の生地を1/4だけ
最初の折り目が脇に来るように1枚ずつ手作業で回転させて裁断します。
※彼はこの時点で上下の端を天地縫い(古着屋界隈で言うシングルステッチ)し
洗い・タンブラー乾燥をかけた後裁断するそうです。
製品としてのクオリティーは格段に上がるけれど…とにかく非効率(笑)
縫製
カットソーの生産的視点から言えば、縫う箇所が少なすぎて
かえって縫いにくいのが丸胴仕様です。
開いた状態の方が後ほど述べる衿ぐりのバインダーも入れやすいし
ことさら、セミフリーダム仕様(画像④・脇下が3角に袖側に喰い込む仕様)では
まるで一筆描きのごとく縫うため、まぁ、縫いにくいことこの上なしです。
カットソーの袖付けは
ロックミシンの差動(布送りの分量を調節する機構)を効かせて縫うのが定石。
しかし、彼のこだわりで使用しているロックミシンは
1889年~1900年代初頭のロックミシン草創期とも言うべき時期のミシン。
当然、差動機構などと言うハイカラな機能なんてないので
布のダブりを制しつつ縫うのは至難の業です。
そしてバインダーに至っては…僕なら断る(実際に断っていた)仕様。
画像⑤を見ていただくと身頃の生地が途中まで挟まれて(バインドされて)いるのが
見て取れます。
ビンテージのスウェットに見受けられる仕様で
ネックラインの生地当たりが柔らかくなり、着心地が良いのが特徴ですが
縫う視点からすると均一にバインドするのがとても難しく
現場管理者としては苦悶の表情になる仕様です。
こうもあっさりやらんといてほしいわ…が旧工場長としての本音です(笑)
サラッと流した天地縫いも習得にはかなりのOJTを必要とする仕様で
彼が相当練習したのが簡単にわかる出来になっています。
作り手側の自己満足と言われればそれまでのこと。
でも、僕がやるならこの値段は付けられないなぁ…